2001年10月17日

7. ヤゴ

小学生の頃、近くの川でいろんな生き物を採って来ては、水瓶の中に入れて飼っていました。
川エビやザリガニ、小さなフナやドジョウとかいろいろね。
その中にヤゴが一匹いました。

ある朝早く、母親が『ヤゴがトンボになりそうや』って起こしてくれたんです。
僕は急いで、パジャマのまま、水瓶のところへ行きました。
こういうこともあるだろうと、水瓶のまん中に大きな石を置いていたんですが、それが役に立ったようです。
石の先が水面から少し出ていて、ヤゴはその石の先端に登っていました。
ヤゴの皮を破って、トンボが少しずつ出てくるんです。
ものすごくゆっくりと、少しずつ、少しずつ・・
僕は水瓶の前に座り込み、じっと見ていました。
やがて、羽を伸ばし、りっぱなトンボの姿になったんですが、そこからが長いんです。
動かないんですよ、いくら待っても、全然動かない・・
少年の頃は根気があったんですね・・じっと待っていました。
すると突然、トンボが飛び立ち、1メートル程離れた木の枝に、僕の方を向いて止まるんです。
すぐに、どこかに飛んで行くんだろうと思っていたら、また、そこから動かない・・
僕もじっと動かず、トンボを見つめて・・
だいぶたってから、やっとトンボは飛び立ち、僕はトンボの後ろ姿に、小さく手を振っていました。

僕は嬉しくて、学校まで一生懸命走って行きました。
教室に行くと、2時間目か3時間目の授業中。
僕は勢い良くドアを開けると、いきなり『先生!、今日、僕の飼ってたヤゴがね・・』と説明しようとしたんです。
先生は、僕の頭を撫でながら、ニコニコして、『後で、ゆっくり聞かしてもらうから・・早く席に座りなさい』って、言ってくれました。

その時の教訓
1. 生命の神秘ですね。
2. 根気も大切です。

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